冷媒は「使って減る」ものではない
エアコンの冷媒は密閉された配管の中を循環しているだけで、燃料のように消費されません。冷媒が足りないなら、どこかから漏れています。漏洩箇所を直さずに冷媒を足しても、また減って同じ症状が出るうえ、フロン排出抑制法では、漏洩が確認された機器に修理をせずに冷媒を充塡することは原則として認められていません。
冷媒漏れが疑われるサイン
- 冷えが徐々に弱くなった(急にではなく、数週間〜数か月かけて)
- 低圧が低く、過熱度が大きく、過冷却度が小さい(測定値の組み合わせ)
- 室内機の熱交換器や配管に霜・氷が付く
- 配管の接続部やろう付け部に油のにじみがある(冷媒とともに冷凍機油が出る)
- 冷媒不足系のエラーコード(ダイキン U0、三菱電機 U2・UL、東芝 P15・H06、パナソニック P15、三菱重工 E57・E49 など)
漏洩箇所を特定する手順
| 方法 | 何が分かるか | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ガスリークディテクター(電子式の検知器) | 微量の冷媒ガスに反応し、漏れている「あたり」を見つける | 配管の接続部、ろう付け部、熱交換器、弁まわりを順に走査する最初の段階 |
| 発泡液(石けん水状の検知液) | 漏れている箇所から泡が出る。箇所を目で確定できる | 検知器が反応した箇所の特定。フレア接続部や弁の確認 |
| 圧力の推移の記録 | 時間をおいて圧力が下がれば漏れがある。下がり方で規模の見当がつく | 漏れが小さく、その場で見つからないとき |
| 窒素による加圧(気密試験) | 冷媒を回収したうえで窒素で加圧し、圧力低下と発泡で漏れを確認する | 配管が長い・隠ぺい部がある・微小漏れの確定が必要なとき |
| 蛍光剤(UV) | 冷媒とともに漏れた蛍光剤が、紫外線ライトで光る | 長期間かけてごく少量漏れる箇所の特定 |
当社では、高性能ガスリークディテクターで配管の接続部・ろう付け部・熱交換器を順に調べ、反応した箇所を発泡液で確かめて漏洩箇所を特定します。微小な漏れは圧力の推移と合わせて判断し、必要に応じて窒素加圧の気密試験を行います。
漏れやすい場所
- フレア接続部(室内機・室外機の配管接続部)── 締め付け不足、フレア面の傷、振動による緩み
- ろう付け部 ── 施工時の不良、振動・熱膨張による亀裂
- 熱交換器 ── 腐食(海岸部・薬品を扱う施設)、ピンホール
- 弁まわり ── サービスバルブのキャップ・バルブコア、電磁弁・膨張弁の接続部
- 配管の擦れ ── 固定不良で配管どうしや構造物に当たって摩耗した箇所
箇所が分かったあと
漏洩箇所を修理(フレアの再加工、ろう付けのやり直し、部品交換)し、窒素で気密を確認してから真空引きを行い、規定量の冷媒を充塡します。充塡後は試運転で圧力・温度・電流を測り、過熱度・過冷却度が適正に戻ったことを確認します。作業内容と冷媒の充塡量は記録として残し、フロン排出抑制法に基づく点検・充塡記録に反映します。
熱交換器の腐食など、修理よりも更新が合理的な場合もあります。設備の年数・部品の供給状況・修理費用と更新費用を並べてご説明し、ご判断いただいてから作業に入ります。
安全上の注意:冷媒ガスは空気より重く、密閉された場所に滞留すると酸欠の危険があります。また、可燃性に分類される冷媒(R32 など)もあります。漏れが疑われる場所での火気の使用は避け、換気をしてから作業を依頼してください。
